『食堂かたつむり』 [感想@ 2014年まで]
『食堂かたつむり』
監督: 富永まい
原作: 小川糸
’10 日 / 119min.
倫子は自由奔放にみえる母が嫌いで、
中学卒業と同時に都会に住む祖母のもとへ。
祖母から料理を教えてもらい、
食堂を開く夢を持つ。
大人になって、恋をして。
彼と一緒に夢を実現する一歩手前で。
そのための資金を持って男が消えた。
ショックのあまり、声も失ってしまった。
恋・金・夢と声、すべて失った倫子は田舎へ戻り、
そこで『食堂かたつむり』を開くことに・・・
『かもめ食堂』や『しあわせのパン』的世界は好き。
そういう世界を思い描いていたけど、
この話は、そこに鮮やかなファンタジー色が加えられてる印象。
それが溶け込んでないように感じられるから、
観ていて、居心地の悪さを感じてしまった。
「喜劇」だからいいのかなコレで・・・とも思う。
村から見える山の名前からして、素っ頓狂だし。
でも、色々、唐突感がある物語。
急に語られる、倫子出生の秘密。
自由奔放かと思われた母が抱える、一途な恋。
和解出来そうかと思った矢先に、母の末期がん。
30年前に死んだと思われた初恋の相手との再会。
・・・そんな簡単に再会できるなら、
同じ村に住んでるんだからどこかで消息が解っただろうに。
なんてことは、言ったら駄目なんだろうねぇ・・・。
当初、母は豚のエルメスを溺愛していて。
嫌な人かと思いきや、裏で色々心配している不器用な人だった。
途中、倫子とエルメスとの心の会話があったりする。
エルメスの末期を思うと、この会話はどうなんだろう。
エルメスの最後自体は納得です。
母は溺愛してたけど、それは代理的存在だったんだろうから。
あるべき形に戻った(感謝して食べる)のは解る。
倫子の声が戻るのも。
死んだ後に知った母の愛によって、なんだろう。
体当たりして死んだ鳩を食すか~・・・とは思ったけど。
物語冒頭から要所要所に飛び回ってた鳩だけに、
最後は倫子の命に組み込まれて終わる、って感じでいいか。
洋装喪服姿な老婦人(江波杏子)が、
倫子の料理で人生を楽しむ喜びを取り戻していく様が印象的。
彼女のライフスタイルを想像して、提供されるフルコース。
皿が進むごとに伸びる背筋と生気が戻る表情。
こんな風に歳をとりたいな~と思える美しさでした。
でもって、倫子の料理は特別なんだな、と思えた場面。
くまさん(ブラザートム)へ提供された
ざくろを使ったカレーもそうだけど。
2人の思い出がつまったざくろカレー。
くまさんだけに意味を持つ、特別な一皿だ。
ジュテームスープなる恋が叶う一皿のシーンは、逆。
最初の一組はまだしも・・・。
後から後からそれに続くシーンがあって、
それは料理が胡散臭く感じられたなぁ、と。
ちょっと原作はどうなのか、気になるところです。
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